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役員退職金規程の作成と運用
[1]役員退職金規程をどう考えるか


商法により役員退職金は株主総会で決められることになっています。が、役員退職金の細かい金額まで株主総会で決めることは少ないですし、また、実際に決めることはむずかしいでしょう。

そこで、実際には取締役会に一任し、取締役会が細部を決定することになります。
その場合に問題となるのが役員退職金規程の有無です。

何の規程もなく、取締役が勝手気ままに役員退職金の額を決めることは公正とはいえませんし、また、後継者が役員の子供であり、規程もなく高額な役員退職金を支給したりすれば、問題の種となるでしょう。

では、役員退職金の決定時においての問題点として、役員退職金規程がある場合と無い場合とに分けて解説したいと思います。



[2]役員退職金決定における問題点


役員退職金は誰が決めるのか



役員退職金の支給の最高決議機関は、商法の規定により、株主総会です。しかし、実務上は、株主総会では役員退職金を支給することだけを決定し、具体的な金額の決定や支給日・支給方法については取締役会に一任することが多いです。

それでは、取締役会ではどうして決めているのでしょうか。これは、次のように役員退職金規程がある場合とない場合の2つに分かれます。


(イ)役員退職金規程がある場合

役員退職金規程がある場合には、その中の役員退職金の計算方法によって計算することになり、功労加算金の規定があれば、当然それを考慮して決定されます。

役員退職金規程があることによりその決定過程は明解であり、懸念を抱かれることなくスムーズに決定することができるわけです。


(ロ)役員退職金規程がない場合

規程がない場合には、退職役員の功績や慣例を基に決めることになります。
一見公平のように思いますが、退職金支給額の基準がないため、お手盛り支給になったりするおそれが否めません。

決定過程や計算根拠が不明瞭なため、その後、株主や社員から不満が出たり、異常な額で会社に損害を及ぼしたりすれば、その決定に携わった取締役が株主代表訴訟の対象になったりするおそれもあるでしょう。


ここでお判りの通り、規程が無くても役員退職金は支給できるわけですが、その決定根拠を明確にするためにも、役員退職金規程が重要になるのです。



[3]役員退職金と税金


(1)役員退職金の税務処理


役員退職金は原則として全額損金算入が認められています。しかし、不相当に高額な部分は損金に算入することができません。

したがって、税務調査において不相当に高額であるか否かが問題となり、実務上は税務署側と大いにもめるところです。


(2)不相当に高額か否かを「何で」判断するか

法人税法施行令第72条によれば、不相当であるか否かは、次の3つの項目により判断されます。

イ)退職役員の業務に従事した期間
ロ)退職の事情・会社への貢献度
ハ)同業種・同規模の会社における退職金の支給状況とその比較


法人税法ではこのように決められていますが、実際の税務調査では、不相当に高額であるか否かをそう簡単に判断することはできません。
そこで調査で問題になるのは、「何を基準にして決めたか」ということです。

@役員退職金規程がある場合

・形式基準

何かの基準に従って決めたのか、それとも取締役会が勝手に決めたのかということが重要となります。そこで、十分きちんとした役員退職金規程があるということは、根拠を明確にする上で非常に大切なことになります。

規程があれば、取締役が勝手に決めたのでなく、一応客観的な基準を満たすことにもなるからです。そういう意味から、まずは形式を整えておくことが必要でしょう。
これを形式基準といっています。

・実質基準

次に問題になるのは規程の内容で、いくら規程があったとしても、その内容に問題があれば、当然、税務署側はそのことを突いてくるはずです。

具体的には、役員退職金の計算方法や、その計算方法の構成要素に着目してくることになります。

その筆頭が功績倍率といえますが、異常に高い倍率を決めていれば、当然、指摘されてしまうので、功績倍率は慎重に決定する必要があるでしょう。
このような規程の内容のことを実質基準といっています。

A役員退職金規程がない場合


規程がない場合には、まずは何を基準に、誰が決定したかが問題になります。
・お手盛り支給がないか
・内部留保の配当すべき部分を役員退職金で処理していないか等
を疑われることになります。

したがって、規程がない場合には、その退職金の決定過程をより明確にしておくことが大切で、とくに後継者が役員の親族である場合には、その決定過程は重要であり細心の注意を払わなくてはなりません。



[4]役員の死亡退職金に関する問題点


経営者にとって、後継者が子供等の親族ならば死亡退職金は確実に支給されることでしょう。しかし後継者が経営者の友人や第三者の場合には、その退職金の支給に問題が出てくる場合も想定されます。

特に友人同士が一緒に企業を設立し、途中で意見がくい違って、仲たがいしてしまった場合等には注意が必要で、このような企業は最初からきちんと規程を作っておかないと、遺族を守れない場合が生ずる可能性があります。



[5]役員退職金の財源をどうするか


資産価値の下落、赤字決算の連続、平成不況の影響、高齢化社会の進展等を考えると、これからの役員は、自分達の役員退職金は自分達で準備をしておくことが大切となってきます。

ここで、具体的な財源を考えてみたいと思います。
現金や預金を貯めて払えれば、これが最高です。しかし、現実に役員退職金用の預金を他の預金と分けて積んでいくことは非常にむずかしいものです。

資金繰りが苦しければ、役員退職金用の預金を取り崩して使うことは目に見えており、更に、死亡退職の場合には、積立額が間に合わないことも十分あり得ます。

役員退職金は高額のため、土地・マンション等の不動産売却の方法も考えられますが、そう簡単に希望額で売れる時代でもないし、現実的でもありません。

それなら借入金でと考えても、不動産の担保価値も下がり、銀行も簡単には貸してはくれず、仮に借りられたとしても、その後の返済で後継者の苦労は否めません。
では、どうすればよいのでしょうか。

そこで出番となるのが、税務上のメリットがある生命保険の活用です。
万一の場合には会社の事業資金として活用でき、死亡退職金のみならず、解約返戻金を勇退時の退職金資金として活用できるからです。

但し、保険商品の選択を誤ると、資金繰りの悪化等、マイナスになる可能性もありますので保険商品の選択には十分注意する必要があるでしょう。



[6]役員退職金規程の作成上の注意点


では、具体的に役員退職金規程を作成するにはどうすればよいでしょうか。
専門の本や雑誌に雛形がありますが、それはあくまでも、一般的なモデルケースを想定して作られています。

つまり、個々の企業の特徴に合わせて作られているわけではありませんので、実際には具体的な雛形を基準にして、その中に各社独自の規定を追加・削除していくのが最もよいと思われます。

しかし、最終的には、法律的にみて問題がないか、さらには税務上問題がないかについて、弁護士・税理士等のチェックを受けることが大切です。


※税務処理については平成24年2月1日現在施行中の税制を参照しております。これらは将来的に税制の改正等により内容が変更になる場合がありますのでご注意ください。


役員退職金モデル規程はこちらをご覧ください


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役員退職金(死亡・勇退退職金)を保険で準備する場合、どの保険をどのように用いるかは各企業様の実態とニーズによって変わってきます。

また、同じ名称の保険商品であっても保険会社によって内容が異なります。
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